スマートフォンの価格は年々上がり続けている。フラッグシップモデルは当たり前のように15万円を超え、もはや「スマホは高級品」という時代になったと言っていいだろう。
だが、本当にそこまでの性能が必要なのだろうか。
日常的に行うのは、SNS、調べ物、動画視聴、キャッシュレス決済。この程度であれば、実はエントリー機で十分なのではないかという疑問が常にあった。ただ、多くの人がそう思いながらも、「失敗したくない」という心理からiPhoneに落ち着いてしまうのも事実である。
その疑問に自分で答えを出すために、あえてエントリー機を購入した。
今回購入したのは Nothing Phone 3a Lite である。
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現在の手持ちは、フラッグシップの iPhone 17 Pro をメイン機として使用し、サブ機として Galaxy S24 を併用している。使用頻度で言えば、調べ物やSNS、動画視聴の約8割はGalaxy S24で行っているのが現状だ。
ただしGalaxy S24は2年返却プログラムで購入しているため、半年後には手放さなければならない。つまり今回のNothing Phone 3a Liteは、単なるレビュー用端末ではなく、Galaxyの代替候補という現実的な役割も担っている。
本記事では、ハードウェアに絞ったファーストインプレッションをまとめる。ソフトウェアの使い勝手、電池持ち、カメラ作例については別記事で検証する予定だ。
購入情報と価格インパクト
実購入価格のインパクト
購入先は楽天モバイル。Nothing公式通販よりも安く入手できた。
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定価は32,890円。ここから溜まっていた楽天ポイント6,298円分をすべて使用。さらに約2,400ポイントの還元があるため、実質価格は24,192円という計算になる。
約2万4千円。
この金額は、現在のスマートフォン市場では異常に安いと言っていい。
iPhone 17 Proの179,800円と比較すると、価格差は146,910円。iPhone 1台でNothing Phone 3a Liteが約5台買える計算になる。
最も廉価なiPhone 16e(99,800円)と比較しても66,910円の差がある。この価格差がどこに現れるのか。それが今回の検証テーマである。
同価格帯Androidとのポジション
同価格帯には OPPO Reno13 A が存在する。スペックだけを見ればRenoシリーズは堅実でバランス型のモデルだ。
スペック重視で選ぶならReno13 Aは堅実な選択肢だ。防水性能やバッテリー容量など、実用性を重視する人には魅力的なモデルである。
実際に詳細なスペック比較を行った記事も別途まとめているので、気になる人はそちらも参考にしてほしい。
一方でNothing Phone 3a Liteは、明らかにデザインで差別化を図っている機種である。
スペック勝負なのか。デザイン勝負なのか。
その答えは筐体を見れば分かる。
開封|“安いスマホ感”はあるのか?

箱を手に取った瞬間、「安いスマホ」という印象はなかった。
今回購入したのはホワイトモデル。そのため外箱も白。Nothingの世界観を象徴する、無機質でミニマルなデザインが印象的だ。黒モデルや赤モデルでは箱の色も連動する仕様とのことで、開封前から体験を設計していることが分かる。
同梱物は以下の通り。
- 本体
- クリアケース
- USB Type-Cケーブル
- SIMピン
充電器は付属しない。ただ、これは現在の市場では標準的だろう。
しかし、Nothing Phone 3a Liteは急速充電に対応しているため、適切な充電器を選ばないと性能を活かしきれない。
「スマホは1日もつから急速充電器はいらない」と思っている人ほど、一度考えてほしいテーマである。
急速充電器が本当に必要なのかは、以前まとめた下記記事で詳しく解説している。
また、Nothing Phone 3a Liteに組み合わせるなら、最低でも30WクラスのPD対応充電器は用意したい。
おすすめ充電器
iPhoneと異なるという点で特筆すべきは、クリアケースが最初から付属していること、そして画面保護フィルムが貼り付け済みである点だ。
iPhoneは充電器が付かないどころかケースもフィルムも別売りである。実際に使い始めるまでに追加投資が必要になる。対してNothing Phone 3a Liteは、箱を開ければそのまま使える状態が整っている。
これはコスト削減ではなく、コスト配分の違いだと感じた。
ケーブルはツルツルとした表面加工のタイプ。高級感はないが、安っぽさもない。実用品として十分だ。
総じて言えば、「安いスマホ感」は感じなかった。
むしろ、価格を知っているからこそ「よくここまで整えてきたな」と思わせるパッケージングである。
サイズ・重量|199gは重いのか?

数値比較|公称値と実測値
まずは数値から整理する。
公称サイズは 166mm × 78mm × 8.3mm、重量199g。
実測では 165mm × 78.1mm × 8.5mm、重量199gだった。重量はほぼ公称通りである。
比較対象として、
- iPhone 17 Pro
150mm × 71.9mm × 8.5mm、206g - Galaxy S24
147mm × 70.6mm × 7.6mm、167g
Galaxy S24と比較すると、明らかに一回り大きく、重量も30g以上重い。数値だけ見れば「重いスマホ」に分類されるだろう。
だが、体感は必ずしも数値通りではなかった。
体感レビュー|重く感じない理由
最初に手に取った瞬間は「そこそこ重いな」という印象だった。しかし使い始めると、重さはほとんど気にならなくなる。むしろ199gという数字より軽く感じる。
理由はおそらく重量バランスにある。
カメラユニットに極端な重量集中がなく、端末全体で均等に重さが分散している印象だ。トップヘビー感はない。背面の面積が広いことで、手のひら全体で支えられるため、圧力が分散されている可能性もある。
実は同じ199gクラスのiPhone 16 Proを1年間使っていたことがあるが、体感ではNothing Phone 3a Liteのほうが明らかに軽く感じる。これは素材や重心設計の違いが影響していると考えられる。
Galaxy S24は167gと軽量だが、実際の使用時に「Nothingが重くて辛い」と感じることはない。数値差ほどのストレス差はないというのが正直な感想だ。
片手操作性|6.5インチ超の現実

今回初めて6.5インチを超える大型スマートフォンを日常使用した。
結論から言えば、片手操作はほぼ不可能である。
画面上部に指が届かない。親指操作を前提にしたUIでは限界がある。両手持ちが基本になる。だが、これが逆に重さを感じにくい理由の一つでもある。両手で支えるため、重量負担が分散されるのだ。
ただし、片手で素早く通知確認や決済を行いたい場面では不便さがある。リング付きケースやストラップなど、補助アクセサリーは検討の余地があると感じた。
199gという数値は決して軽量ではない。しかし「重いスマホ」と断言するほどのストレスはない。ここは数値と体感が一致しない代表的なポイントだ。
筐体質感|樹脂なのに満足感がある理由

この端末で最も驚いたのは、実は質感である。
背面デザイン|“見せる内部構造”
背面はクリアアクリル系樹脂と思われる素材。内部のビスや分割構造をあえて見せるデザインはNothingの象徴だ。
写真では何度も見ていたが、実物は想像以上に完成度が高い。単なる透明ではなく、意図的にレイヤーが構成されている。安価なプラスチック端末とは明確に違う。
「3万円台のスマホ」と言われなければ、もう少し高価格帯に見えても不思議ではない。
指紋耐性
今回はホワイトモデルを選択した。これが正解だった。
指紋は確かに付着するが、視認性は低い。黒や赤モデルはおそらく目立つだろう。光沢樹脂である以上、完全回避は不可能だが、ホワイトは実用面で優位と感じる。
フレームの質感
フレームはマット加工された樹脂。触感はさらっとしている。どこかiPhone 4sの頃の質感を思い出させる。
金属の冷たさや剛性感はないが、安っぽさもない。角の処理やエッジの立ち方も自然で、違和感は少ない。
製品精度|ここが最大の驚き
最も評価したいのは製品精度である。
樹脂筐体は金属に比べて公差が大きくなりやすい。しかしNothing Phone 3a Liteは継ぎ目がきれいに揃っている。分割線もピシッと整っており、隙間や歪みは見当たらない。
“見せる継ぎ目”をここまで精度高く仕上げているのは評価に値する。
この精度があるからこそ、樹脂でも所有感が損なわれない。
iPhone17Proとの思想比較
iPhone 17 Proは装飾を削ぎ落としたデザインだ。ミニマルで機能美を追求する方向性。
対してNothingは、樹脂という素材を最大限に活かし、視覚的満足度を高める方向に振っている。
素材はiPhoneのほうが上。しかしデザイン満足度は必ずしも価格比例ではない。個人的には、Nothingのほうが「触っていて楽しい」と感じる場面が多い。
GalaxyS24との質感比較

Galaxy S24はシンプルで高級感のあるアルミ×ガラス構成だ。2年前のモデルとは思えない完成度がある。
正直に言えば、金属筐体の剛性感はGalaxyのほうが上だ。ただし、Nothingのデザイン性はGalaxyより明確に個性的である。
もし金属フレームで同じデザインを実現したモデルが出れば、かなり魅力的だろうと想像してしまう。
樹脂だから劣るという単純な構図ではない。方向性が違うだけだ。
外観ディテール評価
ボタン配置とEssential Key問題

電源ボタンは右側中央よりやや上側に、音量ボタンは左側中央やや上部に設定。
ここまでは標準的だが、問題はEssential Keyである。
電源ボタンの真下に配置されているため、誤操作が多い。意図せず押してしまうことが何度かあった。任意機能を割り当てられる便利なボタンではあるが、配置設計はやや詰めが甘いと感じる。
使い込みで慣れることができるかは、今後検証が必要になりそうだ。
SIMトレイ仕様

下部左側に配置。防水パッキンも確認できる。
nanoSIM×2またはnanoSIM+microSDの排他仕様。microSD対応は大きな強みだ。ストレージ拡張を求める層には明確なメリットになる。
スピーカー

下部右側のモノラルスピーカー。
ここは価格相応と言わざるを得ない。ステレオではない点は明確な弱点。動画視聴やゲーム用途では物足りなさがある。
ただし音質自体は極端に悪いわけではない。あくまで仕様上の限界だ。
NFC(おサイフケータイ)位置

NFCは上部、カメラ横付近に配置。マークは本体に刻印されていないが、同梱カバーに位置表示がある。
上部配置は決済時に使いやすい。端末を自然にかざせる位置である。地味だが、実用面で評価できるポイントだ。
カメラ構成|“価格の壁”は超えているか?
レンズ構成

背面は3眼構成。
- メイン:50MP(24mm相当)
- 超広角:8MP(15mm相当)
- マクロ:2MP
フロントは16MP、24mm相当。
センサーサイズはメイン1/1.57インチ。価格帯を考えれば健闘している。
写真撮影時の光学式手ぶれ補正(OIS)は非対応。動画では補正が働く仕様。
ここは価格の壁が見える部分だ。
カメラ出っ張り

約1.7mmの出っ張り。極端ではない。机上でも不安定さは少ない。
iPhone 17 Proとの比較
iPhone 17 Proは3眼すべて48MP級の構成。望遠も含めた完成度は別次元である。
しかし価格差は約15万円。
その差を考えると、Nothingが劣るのは当然であり、比較そのものが酷とも言える。ただし、メインカメラ単体で見れば、スペック上はエントリー機としてはかなり健闘している。
“価格差ほど絶望的な差ではない可能性”を感じさせる構成だ。
Galaxy S24との比較
Galaxy S24はメイン50MP、超広角12MP、望遠10MP構成。
メインセンサー単体で見れば、Nothingも遜色ない可能性がある。超広角は画素数で劣るが、F値次第では実写で逆転する可能性もある。
マクロレンズを実用的に使えるなら、差別化ポイントになる。
エントリー機としては十分以上のカメラ構成だと言えるだろう。
作例検証は別記事で実施予定
ただし、カメラはスペックだけでは評価できない。
実際の描写力、ダイナミックレンジ、色味の傾向、暗所性能、動画手ぶれ補正の効き具合などは、実写比較を行って初めて見えてくる部分である。
そのため、iPhone 17 ProおよびGalaxy S24との作例比較は、別記事で詳細に検証する予定だ。
スペック上の印象と実写結果がどこまで一致するのか。それがこの端末の本当の評価を決めることになる。実写比較記事は公開次第、本章からリンクで接続する。
ハードウェア総合評価(ファーストインプレッション)
ここまで、サイズ・重量、質感、ディテール、カメラ構成と順に見てきた。
あらためて、ハードウェアだけに絞った第一印象を整理する。
明確に良かった点
まず最も評価したいのは、筐体の完成度である。
樹脂素材でありながら、製品精度が非常に高い。継ぎ目は揃い、分割ラインも美しく、安価なスマートフォンにありがちな“どこか甘い感じ”がない。価格を知っているからこそ、「よくここまで作り込んだ」と感じる。
次に、重量バランス。
199gという数字だけを見ると重い。しかし実際に使うと、重心の取り方が上手く、トップヘビー感がない。体感は数値ほど重くない。この設計は素直に評価できる。
さらに、付属品の実用性。
ケース同梱、フィルム貼付済みという構成は、エントリー機として正しい判断だ。本体価格を抑えつつ、初期投資を最小限にできる設計はユーザー目線である。
そしてmicroSD対応。
ストレージ拡張が可能というのは、クラウド前提ではない使い方をする層にとって明確なメリットだ。ここはiPhoneにはない強みである。
明確に弱い点
弱点もはっきりしている。
まずスピーカーがモノラルである点。
動画視聴やゲーム用途では物足りない。価格相応と言えばそれまでだが、没入感という点ではハイエンドとの差は大きい。
次にEssential Keyの配置。
電源ボタン直下という位置は誤操作を誘発しやすい。機能自体は便利だが、ハードウェア配置としては洗練されているとは言い難い。
さらに、写真撮影時のOIS非対応。
日中撮影では問題にならないだろうが、夜景や室内では影響が出る可能性がある。ここは明確に価格の壁を感じる部分だ。
想像以上だった部分
最も予想を超えてきたのは、デザイン満足度である。
正直に言えば、「樹脂筐体だからそこそこだろう」と思っていた。しかし実機を手にすると、装飾の完成度と精度の高さが想像以上だった。
特にホワイトモデルは、指紋の目立ちにくさも相まって実用性が高い。単なる“安いスマホ”ではなく、思想を感じるプロダクトになっている。
価格を考えれば、これは十分に評価すべきポイントだ。
価格差はどこに出ているのか
では、約15万円の iPhone 17 Pro との差はどこにあるのか。
素材の高級感、スピーカー構成、カメラの総合性能、そして細部の洗練度。確かに差はある。しかし、それは価格差ほど圧倒的な“絶望”ではない。
一方で、Galaxy S24 と比較すると、金属フレームの剛性感やステレオスピーカーといった部分では明確な差がある。ただし、デザインの個性という軸ではNothingが優位な場面もある。
つまり、価格差は確実に存在するが、用途によっては体感差が小さい領域もあるということだ。
検証が必要な部分
今回の評価はあくまでファーストインプレッションである。
今後検証すべきポイントは以下の通り。
- バッテリー持続時間
- 長時間使用時の発熱
- カメラ実写比較
- Nothing OSの操作性と最適化
ハードウェアとしての第一印象は予想以上に良好だった。しかし日常使用での快適さは、スペック表だけでは測れない。
ファーストレビューとしての結論
現時点で断言できるのは一つ。
3万円台のスマートフォンに、ここまでの完成度を求められる時代になっているという事実だ。
価格を知らずに触れば、「これがエントリー機なのか」と感じる人もいるだろう。
3万円台という価格を前提に考えれば、この完成度は一度チェックする価値がある。
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ただし、まだ判断は早い。
本当の評価は、日常使用を通して見えてくる。
Nothing Phone 3a Liteは、単なる“安いスマホ”なのか。それとも価格構造を揺さぶる存在なのか。その答えは、これからの検証で明らかにしていく。
































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